妊娠中は赤ちゃんの成長発育をモニタリングすることが重要である。成長発育の異常が赤ちゃんの死などにつながる可能性があるため、可能な限り早く発見する必要がある。最も簡単な成長発育の判定方法は、母親の腹部を触診して赤ちゃんを調べ、おへそ(臍)などのランドマークと比較して子宮の大きさを推定することである。別の方法として、巻き尺を使用して、母親の恥骨(恥骨結合上縁)部分から子宮の最高(頂)部までを計測する、子宮底長(SFH)測定という方法がある。妊娠期間中の簡単な測定指標として、正常な成長と比較する。
我われは、この2つの方法のうち、どちらの方が発育不良を検知しやすいのかを知りたかった。超音波検査で成長発育の異常を検出することもできるが、費用がかかるうえ、必ずしも利用できるとは限らず、不必要に利用されることも懸念される。SFHの反復測定と腹部触診を比較したランダム化試験は1件のみであった(妊娠20週以上の女性1639人が対象)。この試験では、発育不良の検出において、2つのアプローチの間に違いは見られなかった。このようにエビデンスが限られているため、一方の方法が他方の方法よりも効果的であるかどうか、また、これらの方法が超音波測定とどのように比較されるかについては、まだ知られていない。このレビューの主な結果は、GRADEproと呼ばれるソフトウェアを用いてエビデンスの質を評価した。全体的にエビデンスの質は低い、または非常に低かった。
《実施組織》 小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2020.08.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008136.pub3》