このレビューの目的
職業訓練は、指、手、前腕の外傷後の労働者の復職に役立つか明らかにすること
要点
職業訓練が、上肢の外傷を受傷した労働者の復職に役立つかどうかを示す無作為化比較試験(randomised controlled trial ; RCT)を元にしたエビデンスはない。このような研究は必要であり、質の高い研究の基準に則って実施、報告されるべきである。また、職業訓練の内容について詳しく記載すべきであるし、経過観察終了時に復職している労働者の人数、復職に要した時間も報告すべきである。
このレビューから分かったこと
指、手、前腕を怪我した労働者は、しばしば普通に働けなくなる。多くの国で、法律的に、雇用者は労働者が職業能力に影響するような怪我をしたら、支援しなければならないようになっている。この支援はしばしば職業訓練と呼ばれる。職業訓練とは、仕事ができなくなった労働者の復職、もしくは新しい仕事を見つけるのを支援する方法を指す。怪我をした労働者がよりうまくやっていけるよう助けたり、職場を調整したり、身体運動をすることで、職場復帰を支援することができる。しかし、これらの方法は全て実際に行われているが、どのような環境でどのようなアプローチをするのが最善であるのかは明らかになっていない。本レビューは、前回2013年に出版されたコクランレビューの改訂版である。
レビューの主な結果
2017年8月30日までに発表された研究を調べた。我々は、職業訓練もしくは他の治療に、無作為に患者を割り付けた研究のみを抽出したかった。このような研究方法は、一般的にRCTとして知られているが、認められた改善が治療によるものであると保証するベストな方法である。しかし、職業訓練が上肢の怪我をした労働者の復職に役立つかどうか調べたRCTを見つけることはできなかった。
本レビューはどれくらい最新のものなのか。
2017年8月30日までの研究を調査した。
《実施組織》井上円加、杉山伸子 翻訳[2018.5.13] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010002》