デュシェンヌ型筋ジストロフィー児に対する立位補助装置の使用

レビューの論点

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)児に対する立位補助装置の使用効果は?

背景

DMDとは、男児だけが発症する疾患である。この疾患で起こる進行性の筋力の低下は、歩行能力の低下を引き起こし、最終的には移動のために車椅子を使用することになる。DMDの男児が、立位をとったり、体重支持したりできるように、専門的な装置が日常的に使用されている。このような装置には、立位補助装置(例えば、スタンディングフレームまたは立位の車椅子)および装具(例えば、装具またはスプリント)が含まれる。他の疾患群では、立位をとることにより、痛みが出たり、拘縮(筋が短縮して固まった状態)が進行したり、脊柱が弯曲したりといった、身体的な問題が軽減するというエビデンスが得られている。立位をとることで骨の強度も強くなる。しかし、DMDの男児や男性において、立位フレームや装具の使用による効果については、エビデンスがない。

包含基準を満たす研究から医学論文を検索した。DMD患者で使用する立位補助装置を、立位補助装置なし、異なるモデルの立位補助装置、通常のケア、または体重支持を可能にする代わりの補助装置、と比較した研究が必要であった。研究では、参加者を無作為に治療群に割り付けられなければならなかった(これらの研究は通常、質の最も高いエビデンスを提供する)。

主な結果とエビデンスの質

包含基準を満たす研究は見つからなかった。

結論

DMDの男児に対する、立位補助装置の効果を決定するための、このレビューの対象となる関連する研究はなかった。立位補助装置が、特定の健康問題、活動への参加、生活の質に影響を与えるかどうかを判断するためには、さらなる研究が必要である。今後の研究では、立位の「量」(すなわち、体重支持の期間、頻度、量)、および異なる装具の使用にも焦点を当てるべきである。

エビデンスは2019年9月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》堀本佳誉、冨成麻帆 翻訳[2020.08.20]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011550》

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