背景
肺がんは世界中のがんによる死亡の最もよく見られる原因である。喫煙は、肺がんの最も重要な危険因子である。肺がん患者の大部分は診断時に依然として能動喫煙者であるか、あるいは禁煙後にまた喫煙者に繰り返し逆戻りしている場合が多い。喫煙者にとって、早期死亡および障害のリスクを減らすためには禁煙は最も効果的な方法である。禁煙介入は、薬剤を使用しないアドバイスやカウンセリングなどの心理社会的介入と、ニコチンパッチなどの薬剤を用いる薬理学的介入とに類別することができる。患者の行動を変える行動療法および薬理的治療は、補完的に働く方法であり、自立して長期の禁煙状態を維持する可能性を向上させると考えられている。肺がん診断後の禁煙は、死亡率または死亡数の低下、術後合併症の低下、二次原発肺がんの再発率および発症率の低下、ならびに治療効果および生活の質(Quality of ife:QOL)の向上と関連する可能性がある禁煙介入はがん患者の管理に重要な役割を果たす。現喫煙者および元喫煙者、とりわけ肺がん患者は禁煙を奨励される必要がある。しかしながら、肺がん患者に対するあらゆる種類の禁煙プログラムの効果は不明である。
レビューの論点
肺がん患者に対するあらゆる種類の禁煙プログラムの有効性を確認することを目的とした。
主要な結果
2018年12月22日までの医学データベースおよび2018年12月30日までの他のウェブサイトを検索した。複数の治療法のうちの1つに参加者を無作為に割り付けるランダム化比較試験は同定されなかった。データが入手可能な場合、組み入れのために4件の進行中の試験を同定した。今日現在、禁煙介入が肺がん患者にとって有効であるかどうか、そして1つの方法が他のあらゆる方法に比較してより有効であるかどうか結論づけることはできない。肺がん患者は禁煙を奨励され、禁煙に関した助けを提供される必要があるが、肺がん患者に対していかなる種類の禁煙介入も推奨することができない。この問題の答えを出すには質の高いランダム化比較試験が必要である。
エビデンスの質
コクランの選択基準に合致した試験は存在しなかったため、質の高い科学的根拠(エビデンス)は確認されなかった。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011751.pub3》