早産児および低出生体重児の成長促進のための高用量経腸栄養剤と標準用量経腸栄養剤との比較

レビューの論点
早産児(在胎37週未満で出生)や低出生体重児(2,500g未満)に通常より多くの量の授乳を行うことは、哺乳障害やその他の副作用を引き起こすことなく成長を促進するか?

背景
早産で生まれた赤ちゃんは、成長のために特別な栄養素を必要とする。栄養を余分に摂取させる方法として、乳児に通常より多くの量のミルクを与える方法がある(高用量経腸栄養、ミルクの量が180~200mL/kg/日以上)。早産児や低出生体重児に高用量のミルクを与えると成長率が上がる可能性があるが、高用量のミルクに耐えられず、重度の腸管障害などの副作用が出る可能性が懸念される。早産児や低出生体重児に高用量経腸栄養が有益か有害かを評価した臨床試験のエビデンスを探した。

研究の特徴
検索は2020年6月時点のものである。この疑問について検討した3件の試験を特定した。

主な結果
2件の研究からのエビデンスは、強化母乳(母乳添加剤を添加した母乳)または早産児用人工乳による高用量経腸栄養(180mL/kg/日以上)は、同じ量の標準用量経腸栄養と比較して、おそらく入院中の体重増加を改善することを示している。同様に、ある小規模な研究から、強化されていない母乳または早産用人工乳による高用量経腸栄養(200 mL/kg/日以上)は、おそらく入院中の体重増加を改善することが示された。高用量経腸栄養が入院中の体長や頭の大きさの増加、長期的な成長・発達、腸の問題やその他の副作用に与える影響についてコメントするにはエビデンスが不十分である。

結論

高用量経腸栄養は入院中の体重増加を改善すると思われる。高用量経腸栄養が他の成長および結果(評価項目)に及ぼす影響について結論を出すには、利用可能なデータが不十分である。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2022.03.04]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012413.pub3》

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