失業者の就職を支援する健康改善介入

このレビューの目的

このコクランレビューの目的は失業者の就職を健康状態改善によって支援することができるかどうかを調べることであった。

健康状態の悪化と仕事の能力の低下は失業の原因かもしれない。また失業、特に長期にわたる失業は体調不良や幸福度の低下を引き起こす可能性がある。健康改善介入によって失業者の就職を支援することができるかどうかはまだわかっていない。

主な結果

治療的方法と就業訓練を統合した介入は、介入を受けなかった群と比較して、再就職できた失業者の数がわずかに増加した。エビデンスの確実性を高めるために、短期もしくは長期の失業者に明確にターゲットを絞った介入を含むより質の高い研究が必要である。

このレビューで検討されたこと

このレビューでは、合計6397人の被験者を含む15件のランダム化比較試験が含まれた。介入には認知行動療法、身体運動そして健康に関するアドバイスやカウンセリングのような治療的方法が含まれていた。もしくは、治療的方法と就業訓練を含む統合的な介入であった。このレビューでは、再就職できた失業者の人数に関する研究データを用いた。また、全般の健康状態やメンタルヘルスのデータも収集した。仕事の能力に関するアウトカムの報告はなかった。

統合した介入(就業訓練と組み合わせた治療的介入)は、この介入に加わらなかった失業者と比較して、再就職できた失業者の数がわずかに上昇する可能性が示唆された。治療的介入では、この介入に参加しなかった失業者と比較して、再就職できた失業者の数が上昇するかもしれないが、エビデンスは不確実である。治療的介入は介入をしなかった場合と比較して、メンタルヘルスや全般の健康状態に変化をもたらさなかったと考えられる。

このレビューの更新状況

2019年8月までに公表された研究を検索した。

訳注: 

《実施組織》 岩見謙太朗 有家尚志 翻訳[2020.2.23]
《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD012152.pub2》

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