研究者や組織は、理想的な条件下での治療や介入の有効性を判断するために、ランダム化比較試験(RCT)からのエビデンスを使用することが多いが、観察的デザインの研究は、実験的ではなく「実際の臨床(リアルワールド)」の場での介入の有効性を測定するために使用される。同じ疑問を扱ったRCTと観察研究の結果が異なる場合もある。本レビューでは、このような結果の違いが、研究デザインそのものに関係しているのか、あるいは他の研究特性に関係しているのかという疑問を探索した。
本レビューでは、同じ疑問を扱ったランダム化試験と観察研究のアウトカムを比較した方法論のレビューと、異なる種類の観察研究のアウトカムを比較した方法論のレビューの結果をまとめた。
このレビューの主な目的は、RCTと観察研究の比較(例:コホート研究と症例対照研究の比較)など、研究デザインが推定された効果測定値に与える影響を評価し、その差を説明できるような方法論的変数を探すことにある。
複数の電子データベースと関連論文の参考文献リストを検索し、ランダム化試験によって検証された介入と、観察研究またはさまざまなデザインの観察研究で検証された介入の有効性や効果の評価に用いられる量的な効果の大きさの推定値を比較することを目的とする方法論的レビューとして計画された系統的レビューを特定した。対象としたレビューのバイアスのリスクを評価した。
本レビューの結果によると、特定の観察研究のデザインの使用、異質性の有無、薬理学的研究の包含、または傾向スコア調整の使用にかかわらず、観察研究とRCTの間で効果の推定値に有意な差があるというエビデンスはほとんどない。RCT の結果と観察研究の結果が一致しない理由を探る際には、研究デザイン以外の要因を考慮する必要がある。
《実施組織》阪野正大、ギボンズ京子 翻訳[2020.06.22]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000034.pub2》