背景
ほとんどの試験は、研究を実施することを計画していた期間内に必要な参加者の数を確保することに失敗している。研究に参加する可能性のある参加者を募集するには、3つの段階がある。研究に参加する可能性のある参加者の特定、アプローチ、同意の取得である。研究者は、医師や看護師などの医療スタッフに頼って、潜在的な参加者を特定してアプローチする。このレビューでは、研究への参加を改善するために研究者が使用できる戦略を検討する。
結果
2015年1月の文献検索において、医療スタッフが使用した戦略を評価した11件の研究が見つかった。5件の研究において、参加者は合計7,372人であった。主な戦略は3つあった。
1.コンピューターシステムまたはスタッフのメンバーのいずれかが患者の記録をチェックするアラートシステムを使用して、誰が研究に適している可能性があるか、参加者を募集しているスタッフに知らせる(5件の研究)。
2.研究者の訪問、教育セミナー、またはリーフレットを通じて参加者を募集している病院または診療所のスタッフに研究に関する追加情報を提供する(4件の研究)。
3.参加者を募集することを主な役割とする指定されたスタッフのメンバーを使用する(2件の研究)。
識別されたすべての研究は方法論的な質が非常に低いため、それらから確固たる結論を引き出すことは困難である。5件の研究では、警告システムを調査して、研究に適している可能性のある参加者を特定した。警告システムはいくつかの有望な結果を示したが、研究結果は一様ではなかった。参加者を募集する場所への追加情報、訪問または教育の提供を評価した4件の研究は、テストされた戦略のいずれも募集の改善につながらないことが分かった。最も有望な戦略は、臨床試験担当や研究看護師など、研究への参加者を募集するという特定の任務を持つ人を雇用することである。この戦略を使用した2件の研究は、採用率の改善を示したが、どちらもバイアスのリスクが高かった。
結論
研究参加者の採用担当者についての役割を評価するために、さらに多くの研究が必要である。
《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳 [2020.05.03]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000036.pub2》