喘息発作では、気道(肺への経路)が筋けいれんおよび腫脹(炎症)により狭くなり、呼吸の問題、喘鳴および咳嗽の原因となる可能性があります。発作は重度または致命的になる場合もあります。重度の喘息発作緩和に用いる主要な薬剤は、けいれんに対する気道拡張薬(肺および気道を拡張する吸入緩和薬)およびステロイド(肺および気道の炎症を減らすための予防薬)です。アミノフィリンは長年静脈内投与でも使用されてきましたが、本試験レビューにより、本薬は他の気管支拡張薬より有意な効果を示さないこと、および副作用がより多いことが示されました。アミノフィリン投与を受けた患者100名のうち、20名が嘔吐、15名が不整脈または動悸を呈しました。本レビューは2000年に初めて発表され、2012年に更新され2件の試験が追加されましたが、元の結論に変更はありませんでした。
EDで喘息増悪を経験した患者において、アミノフィリン静脈内投与は吸入β<sub>2</sub>刺激薬による標準治療に比し、有意な気道拡張、または入院リスクの有意な低下を認めなかった。アミノフィリン投与を受けた患者100名のうち、20名が嘔吐、15名が不整脈または動悸を呈した。アミノフィリンがより有効と思われるサブグループは同定されなかった。2012年の更新結果は、アミノフィリン静脈内投与のリスク/利益のバランスが望ましくないという元の結論と一致する。
喘息は慢性疾患であり、患者が時々あるいは高頻度に生じる増悪のため救急科(ED)を受診することがある。急性喘息増悪の治療のためアミノフィリンが使用されてきたが、特に吸入β<sub>2</sub>刺激薬との併用による利益についてその役割は明らかになっていない。
EDで急性喘息の治療を受けた成人患者に対し、アミノフィリン静脈内投与薬を吸入β<sub>2</sub>刺激薬と併用する際の効果を検討する。
Cochrane Airways Group register(MEDLINE、EMBASE、CINAHL の標準化された検索から得る)から試験を同定し、呼吸器雑誌および会議抄録のハンドサーチを行った。2名の独立のレビューアがスクリーニングを実施し、関連可能性のある論文を得て、その後追加された論文の参考文献リストをハンドサーチした。2000年発表の本レビューの初版には1999年までのデータベースの検索が含まれている。開始から2012年9月までの検索を改訂し、2012年のレビューを更新した。
急性喘息で吸入β<sub>2</sub>刺激薬投与を受けた成人患者を対象にアミノフィリン静脈内注入薬とプラセボを比較するランダム化比較試験(RCT)。副腎皮質ステロイド(薬)(以下、ステロイド)またはその他の気管支拡張薬については、ランダム化治療の一環として使用しない場合に限り、上記薬剤の併用または非併用の患者を組み入れた。
2名のレビューアが別々にデータを抽出し、1名のレビューアがRevManにデータを入力し、もう1名のレビューアが入力内容を確認した。平均差(MD)またはオッズ比(OR)を用い、95%信頼区間(CI)で、結果を報告した。
前版のレビューには15件の試験が組み入れられ、本更新版に2件の新規試験を組み入れたが、新規データを統合することはできなかった。全般的に試験の質は中等度であり、試験7件(45%)についてのみ、割りつけの隠蔵化(コンシールメント)が明らかに適切であると評価された。アミノフィリンおよびその他の薬剤の用量並びに急性喘息の重症度は試験間で変動があったため、試験間に有意な臨床的異質性が認められた。 入院に関し、アミノフィリン静脈内注入薬併用による統計学的に有意な利益は認められなかった(OR 0.58、95%CI 0.30~1.12、6件の試験、n = 315)。2000年のいずれの期間においても気道アウトカムに対するアミノフィリンの統計学的に有意な効果を認められず、2012年に2件の試験を追加したが、この結論に変化はなかった。アミノフィリンおよびβ<sub>2</sub>刺激薬投与を受けた患者の最大呼気流量(PEF)を12時間後(MD 8.30 L/分、95%CI -20.69~37.29 L/分)または(予想値MD -1.21%、95%CI -14.21%~11.78%)および24時間後(MD 22.20 L/分、95%CI -56.65~101.05 L/分)にβ<sub>2</sub>刺激薬単独投与と比較した。 平均ベースライン気流制限(11件の試験)およびステロイド使用(9件の試験)に従い、試験を郡分けして、サブグループ解析を2回実施した。ベースライン気流制限またはステロイド使用のアミノフィリンの効果への影響に関連は認められなかった。アミノフィリン投与患者では、動悸/不整脈(OR 3.02、95%CI 1.15~7.90、6件の試験、n = 249)および嘔吐(OR 4.21、95%CI 2.20~8.07、7件の試験、n = 321)の報告がより多かったが、振戦(OR 2.60、95%CI 0.62~11.02、5件の試験、n = 249)では有意差を認めなかった。