高血圧症に対するカルシウム拮抗薬とその他の種類の降圧薬の比較

このレビューの目的は何か?

このレビューの最初の更新版は2010年に発表され、血圧の高い人(高血圧症)に対し、その他の降圧薬(血圧を下げる薬)と比較して、カルシウム拮抗薬(CCBs)が、脳卒中、心筋梗塞、心不全などの有害な心血管合併症を予防できるかどうかを検討した。

背景

高血圧症の人の上昇した血圧を適切に下げることで、脳卒中、心筋梗塞、うっ血性心不全、さらには死亡などの高血圧症の主要な合併症頻度を減らすことができる。カルシウム拮抗薬(CCBs)は第一選択の降圧薬として使用されているが、これが有害な心血管合併症を減少させる最善の方法であるかどうかは議論の余地がある。

検索期間

2020年09月01日までのすべての関連研究を収集し、分析をした。

研究の特性

欧州、北米、オセアニア、イスラエル、そして日本で実施された23件の関連研究を特定した。これらの研究では、高血圧症の人を対象にカルシウム拮抗薬(CCBs)と他の種類の降圧薬による治療を比較していたが、153,849人の参加があった。研究参加者のフォローアップ期間は、2年から5.3年であった。

主な結果

全ての死因による死亡率は、カルシウム拮抗薬(CCBs)と他の降圧薬との間に差はなかった。利尿薬はカルシウム拮抗薬(CCBs)よりも心血管系合併症総数やうっ血性心不全をおそらく減少させる。カルシウム拮抗薬(CCBs)はβ遮断薬よりも心血管合併症総数をおそらく減少させる。カルシウム拮抗薬(CCBs)は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬と比較して脳卒中を減少させ、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARBs)と比較して心臓発作を減少させたが、ACE阻害薬およびARBsと比較してうっ血性心不全を増加させた。

エビデンスの質

さらに多くの研究が望まれるが、エビデンスの質は、ほぼ中等度であった。

訳注: 

《実施組織》堺琴美、星進悦 翻訳[2022.02.02]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD003654.pub6》

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