再発性尿路感染症(urinary tract infections:UTIs)は、健康的な生活や医療費に対し重大な悪影響を及ぼしうる、よくみられる疾患である。予防抗菌薬が再発性感染症の頻度を減らす助けとなるが、抗菌薬抵抗性(耐性菌)、副作用および治療による長期的利益の欠如に対する懸念が高まっている。従って、中薬(中医学の薬草療法、Chinese herbal medicine:CHM)などの代替治療が考慮されている。
女性の再発性尿路感染症におけるCHM治療の効果と安全性を評価した。調査は、西洋の文献が2015年5月まで、中国の文献が2014年7月までで、本レビューの選択基準を満たした7件の研究を対象とした。これらは計542例の女性を対象とした。
中薬のみまたは抗菌薬治療との併用は、抗菌薬のみよりも、急性尿路感染症の軽減と再発エピソードの防止に、より効果がある可能性を示唆した。2件の試験のみ、有害事象の明確な報告の必要性を言及していたが、どちらにも有害事象の報告はなかった。
しかし、研究は小規模で質の低い方法論と評価され、ほとんどの研究参加者は閉経後であった。従って、結果は注意深く解釈すべきで、閉経前の女性と関係が無い可能性がある仮の知見と考えられる。再発性尿路感染症の治療オプションとして、中薬の常用を勧めうる正確なエビデンスを提供する前に、さらに調査を行う必要がある
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD010446.pub2】