手足の指に対する手術のためのリドカインに併用したアドレナリンの使用

レビューの論点手足の指の手術のためのアドレナリンとリドカインの併用に関するエビデンスをレビューした。

背景手足の指の手術は、一般的にそれぞれ局所麻酔下で行われる。アドレナリンは、その効果を持続させるために局所麻酔薬に添加される。ただし、末梢動脈のある体の部分、つまり、手足の指などの特定の器官における唯一の血流である動脈にアドレナリンを使用する場合は注意が必要である。アドレナリンは動脈を収縮させ、器官への血流を減少させることで、結果的に合併症を引き起こす可能性がある。この従来の学説を裏付けるエビデンスがあるかどうかを発見したかった。

研究の特性:エビデンスは2014年11月のものである。アドレナリンとリドカインを併用し、神経ブロック下で指(手指と足指)の手術を受けた小児(生後28日以上18歳未満)と成人患者(18歳以上)の男女を対象にした研究を含めた。

主な結果:167人の対象者がいる4件の適格な研究が特定された。

ある小規模研究では麻酔の持続時間を報告し、アドレナリンが麻酔の持続時間を延長することを発見したが、エビデンスの質は低かった。

アドレナリンとリドカインの併用による注射部位の末梢の虚血といった有害事象や、コスト分析について報告された研究はなかった。

術後疼痛緩和の持続時間が1件の研究で報告されたが、入手可能なデータは所見の分析には不十分であった。

2件の研究では、アドレナリンとリドカインを併用することで、手術中の出血が減少したと報告した。私たちが分析した結果に照らし合わせると、手術中の出血は、リドカインとともにアドレナリンを投与された100人の患者のうち17.2人(8.7〜29.8人の患者)、単にリドカインのみを投与された100人のうち49人の患者で起こると予想された。ただし、エビデンスの質は低く、今後の研究により、この評価に対する信頼性に影響が及ぶ可能性が非常に高い。

エビデンスの質

アドレナリンとリドカインの併用による麻酔の持続時間と手術中の出血に関するエビデンスの質は低い。リドカインにアドレナリンを添加することの利点を証明するには、さらなる研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》 冨成麻帆 翻訳、大須賀明里  監訳[2020.04.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010645.pub2》

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