論点
すでに脳卒中や一過性脳虚血発作を起こした人を対象に、新しい糖尿病治療薬(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPAR-γ)作動薬)の脳卒中および関連血管疾患の予防における有効性と安全性を評価したいと考えた。
背景
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ作動薬は、人体におけるインスリンの働きを改善する薬である。成人型糖尿病(2型糖尿病)の治療に広く使用されている。さらに、脳卒中の危険因子である両者、血中の余分な脂肪と動脈壁の病気に対しても防ぐかも知れない。
研究の特徴
合計5,039人の参加者を含む2022年1月1日までの5件の研究を確認した。4件の試験は薬剤、ピオグリタゾンを、1件の試験はロシグリタゾンを評価した。4件の研究では、糖尿病の既往のない参加者を含み、1件の研究では糖尿病のある参加者のみを含んだ。
主な結果
PPAR-γ作動薬は、プラセボ錠と比較して、脳卒中やその他の血管疾患の再発を抑制し、インスリンに対する身体反応を改善し、動脈壁の脂肪沈着を安定化させた。また、薬剤の忍容性も高いようだが、そのエビデンスは結論的ではなかった。
エビデンスの質
本研究の結論は、対象となった研究数が少ないことと、いくつかの研究の質が低いことを考慮し、注意して解釈されるべきである。大規模で更によくデザインされたランダム化比較試験が求められる。
《実施組織》 阪野正大、星進悦 翻訳 [2023.02.13]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010693.pub6》