家族計画や避妊法の利用を支援するための、携帯電話を使って提供される介入

論点

このレビューの目的は、携帯電話による介入が避妊法の利用を増進するかどうかを判断することである。

要点

携帯電話による介入は、避妊法の増進と継続的な利用に良い影響をもたらす。

双方向性のメッセージは、避妊法の利用を増進する上で、一方的なテキストメッセージよりも優れている。

現存するエビデンスのレベルは中等度である。

このレビューの重要性

携帯電話で配信されるヘルスメッセージや介入は、健康や行動を改善することが示されているが、携帯電話で配信されるメッセージが、避妊の使用などリプロダクティブ・ヘルスに関連する問題に影響を与えるかどうかは不明である。

女性と子どもの健康は、避妊から大きな恩恵を受ける。このような利点があるにもかかわらず、また妊娠を避けたいにもかかわらず避妊をしない女性が世界的にかなり多い。

近年の携帯電話の急速な普及により、必要な時にいつでも、どこでも、サービスへのアクセスが制限された人々へも届く、携帯電話を介したヘルスケアの提供への関心が高まっている。

エビデンスの特定および評価を行った方法は?

携帯電話で配信される介入の使用と避妊の使用への影響を評価した研究について、医学データベースを検索した。その結果、高所得国(11試験)と低所得国(12試験)の両方において、11カ国で実施された12,793人の女性を対象とした23の試験が見つかった。これらの研究では、標準的なケアと、一方的なテキストメッセージによるリマインダー、双方向性のメッセージ(顧客からの応答が必要)、音声メッセージ、携帯アプリなどの携帯電話による介入を比較した。

わかったこと

各研究の結果はさまざまであったが、結果を統合したところ、携帯電話による介入と避妊法の利用増進には良い影響があることがわかった。

携帯電話ツールを使用したグループと使用しなかったグループの間で、意図しない妊娠に違いはなかった。

携帯電話による一方的な介入よりも、双方向性のメッセージを用いた携帯電話ツールの方が、避妊法の増進に優れているようだ。避妊率向上のための携帯電話ツールの安全性や悪影響については、十分なエビデンスがない。

今後の研究が、これらの結果および結果の信頼性に重要な影響を与える可能性が高い。

結果が意味すること

携帯電話による介入は避妊法の増進に有益であるようだ。われわれの分析は、エビデンスの質によって制限されるため、より確固とした結論を出すことは難しい。健康メッセージと避妊の分野では、より質の高い研究が必要である。

本レビューの更新状況

このレビューは前回のレビューを更新したものである。2022年8月時点のエビデンスを採用した。

訳注: 

《実施組織》内藤未帆、杉山伸子 翻訳[2023.09.06]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011159.pub3》

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