専門家グループは、CONSORT声明と呼ばれるチェックリストとフロー図を作成した。チェックリストは、ランダム化比較試験(RCT)の報告の際に著者に役立つように設計されている。このシステマティックレビューは、CONSORT声明がRCTの報告の完全性に違いをもたらしたかどうかを判断することを目的としている。著者がCONSORT声明を使用することを奨励するジャーナルに掲載された RCT の報告を、そうでないジャーナルに掲載されたRCTの報告と比較する。その結果、雑誌がCONSORT声明の使用を推奨している場合、CONSORT声明のいくつかの項目が完全に報告される頻度が高いことがわかった。雑誌がCONSORT声明を支持すると大多数の項目がより多く報告されるようになるが、データでは27項目中5項目で統計的に有意な報告の改善が見られたに過ぎない。CONSORT声明が医学雑誌に掲載されたRCTの報告の完全性を低下させることを示唆する項目はない。
このレビューに含まれる評価はいずれも実験デザインを使用しておらず、その方法論的アプローチはほとんどが記述が不十分で、記述されている場合にはばらつきがあった。さらに、このレビューの評価に関しては、幅広い医療分野におけるRCTの報告の完全性と、CONSORTの支持の実施に大きなばらつきがあるジャーナルにおけるRCTの報告の完全性を評価した。我々の結果にはいくつかの制限があるが、含まれている評価数と評価されたRCTの数を考えると、ほとんどのRCTは報告が不完全であるが、CONSORT声明は報告の質に有益な影響を与えるという結論に至った。
《実施組織》阪野正大、井上円加 翻訳[2020.07.04]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000030.pub2》