嚢胞性線維症患者におけるドルナーゼアルファの吸入時期

レビューの論点

ドルナーゼ アルファ吸入のタイミングが、嚢胞性線維症患者における有効性の指標に及ぼす影響(気道確保技術または時間帯との関連)を明らかにすること。本レビューは以前報告されたコクランレビューのアップデート版である。

背景

酵素であるドルナーゼアルファの吸入は、痰の粘りを抑え、嚢胞性線維症患者の結果(評価項目)を改善する。物理的な手法で気道を確保する前にドルナーゼアルファを吸入するのが良いのか、それとも後に吸入するのが良いのかは定かではない。また、朝に吸入したほうがいいのか、夕方に吸入したほうがいいのか、はっきりしない。

検索日

このレビューにおけるエビデンスは、2020年10月12日現在のものである。

研究の特徴

5件の試験、合計122人の参加者を対象とした。これらの試験では、治療期間は2週間から8週間の範囲であった。

主な結果

そのうち4件の試験では、気道が確保される前に吸入する場合と、確保された後に吸入する場合とを比較し、臨床結果に全体的な差は見られなかった。しかし、肺機能が十分に保たれている小児では、気道確保術の前にドルナーゼアルファを吸入した方が小気道機能には有利であった。しかし、これは生活の質(QOL)などの結果には影響を与えなかった。残りの試験では、朝と夜の吸入は、肺機能や症状に影響を与えなかった。したがって、多くの嚢胞性線維症の患者にとって、ドルナーゼアルファの吸入のタイミング(気道確保前や後、時間帯)は、実際的な理由や個人の好みに基づいて決めることができる。

エビデンスの質

抄録のみが出版された1件の試験を除き、エビデンスの質は低度から非常に低度であった。これは、グループへの割りつけ、盲検化、結果データの報告の不完全さ、参加者の年齢層の制限に関する問題によるものである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、屋島佳典 翻訳[2022.03.14]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007923.pub6》

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