背景
SkypeやFaceTimeのようなビデオ通信ソフトウェアは、禁煙を支援するために、カウンセラーがインターネット上で患者を見たり会話をすることを可能にする。40億人以上の人々がインターネットを使用し、ビデオ通信ソフトウェアが無料であるため、ビデオカウンセリングによって多くの人々の禁煙を支援できる。
研究の特性
2019年8月13日に文献検索を行い、基準を満たす2つの研究が特定された。本レビューの主眼は、個人或いはグループに提供されビデオカウンセリングが禁煙支援に効果があるか、また他のタイプの禁煙支援と比較して効果があるかという点であった。また、リアルタイムのビデオカウンセリングによって禁煙をしようとした回数や、カウンセリングが最後まで完遂した回数、満足度、カウンセラーとの関係や絆、かかったコストについても分析した。2つの研究は米国で行われ、田舎の人々やHIVに感染した女性が対象であった。両方の研究は、個人に対する1対1のビデオセッションでの介入を行っていた。片方の研究では8回、もう片方の研究では4回のビデオセッションを行っていた。両方の研究において、ビデオカウンセリングと電話カウンセリングを比較し、禁煙に成功したかどうか、研究参加者がビデオセッションを完遂した回数、プログラムへの満足度を検討していた。片方の研究では、参加者がタバコを止めようとした回数を調べ、もう片方の研究では、カウンセラーとの関係や絆について調査していた。
主な結果
ビデオカウンセリングが電話カウンセリングと比較して禁煙の助けになるかという点については不明瞭であった。ビデオカウンセリングを受けた人は、電話カウンセリングを受けた人に比べて、友人や家族の誰かにプログラムを推薦する傾向が高かったが、満足度、カウンセリングセッションの完遂回数、全てのセッションを終えられたかどうか、カウンセラーとの関係や絆について、差は認められなかった。
エビデンスの質
私たちは、禁煙の効果について、エビデンスの質は非常に低いと評価した。研究は2つしかなく、これらの研究の限界により、ビデオカウンセリングが禁煙に対して効果があると確信できる結論を導き出すことは難しいと判断した。結果の解釈には、この点を考慮する必要がある。
《実施組織》星佳芳 翻訳、清原康介 監訳[2020.02.13]
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《CD012659.pub2》