急性呼吸不全の患者は、生命を維持するために気管挿管および機械的人工換気(侵襲的陽圧換気)をしばしば必要とする。機械的人工換気の合併症には、呼吸筋力低下、上気道損傷、人工呼吸器関連肺炎、副鼻腔炎、および関連死がある。これらの理由から、機械的人工換気の使用時間を最小限にすることが重要である。非侵襲的陽圧換気(NPPV)は、陽圧人工呼吸器に接続された口鼻、鼻、またはフェイスマスクを用いて行われ、人工気道の留置を必要としない。
994人の参加者 (約2/3が呼吸不全で自発呼吸のある慢性閉塞性肺疾患患者) を含む、16件のランダム化比較試験の結果(エビデンスの質は、主に中等度から高度)の結果は、非侵襲的換気による補助が、死亡、呼吸器離脱の失敗、肺炎、集中治療室および病院での入院期間を減少させうることを示している。非侵襲的離脱はまた、総人工換気期間および侵襲的換気に費やす時間、ならびに気管切開術を受けた参加者数を減少させた。非侵襲的離脱は、離脱に関連する機械的換気の期間に影響を及ぼさなかったが、再挿管率を増加させなかった。生活の質(QOL)への影響を評価するにはデータが不十分であった。さまざまな参加者を対象とした研究と比較して、慢性閉塞性肺疾患の人を対象とした研究において、非侵襲的離脱は死亡率を有意に低下させた。
《実施組織》 増澤祐子 翻訳、谷崎隆太郎 (市立伊勢総合病院内科・総合診療科) 監訳[2020.02.14]
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