レビューの論点
血液が固まる作用をもつ治療は、脳内出血による成人脳卒中患者の死亡や障害のリスクを減らすか?
背景
脳卒中の10分の1以上は、脳内での出血(脳出血)が原因で生じる。出血が大きければ大きいほど、致命的になる可能性が高くなる。脳出血の約3分の1は、最初の24時間以内に大きく拡大する。したがって、止血を促進する治療は、出血が始まってからすぐに開始されれば、その拡大を抑えることで、脳出血後の死亡や障害のリスクを軽減できる可能性がある。しかし、止血薬は不要な血液凝固を引き起こし、心筋梗塞や下肢静脈の血栓などの好ましくない副作用を引き起こす可能性もある。
試験の特徴
2017年11月までに、1732人の参加者を含む12件のランダム化比較試験が見つかった。
主な結果
脳出血を起こすまで抗血小板薬を使用していた人に対する血小板輸血には、害があることを示す中程度の質のエビデンスが見つかった。他の止血療法については、脳出血患者に対する有益性と有害性のいずれのエビデンスも見られなかった。
エビデンスの質
全体として、エビデンスの質は低~中等度であった。
現在行われている10件の試験から、さらに多くの情報が得られるであろう。
《実施組織》堺琴美、瀬戸屋希 翻訳[2021.10.11]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD005951.pub4》