新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用

注意事項: 

このトピックをカバーし、このレビューに取って代わった最新のレビューは以下のレビューである https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD014461.pub2/full。

このレビューでは、家庭医、腰痛クリニック、救急外来に新たな腰痛を訴える患者が来院した際に、脊椎損傷の有無を確認するための一般的な方法についての理解を述べている。 医師は通常、脊椎骨折の可能性をチェックするために、いくつかの質問をし、背中を診察する。 骨折をチェックする理由は、一般的な腰痛と骨折では治療法が異なるからである。 骨折は通常、X線検査で診断され、安静、背部装具、鎮痛剤で治療される。 一般的な背部痛は、運動療法、カイロプラクティックによる手技療法、鎮痛剤で治療される。X線検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、磁気共鳴画像検査は診断には役に立たない。 骨折が腰痛の原因であることはまれで、家庭医を新たに訪れる腰痛の1%から4.5%程度である。

数千人の患者を対象とした8件の研究では、脊椎骨折の有無を調べるために用いられてきた29種類の異なる質問と身体検査テストについて述べられている。 29種類の質問のほとんどは正確ではなかった。 ベスト4の質問では、ステロイドの使用(骨が弱くなる可能性がある)、患者の年齢(74歳以上になると骨折のリスクが高まる)、転倒などの最近の外傷について尋ねた。 最適な質問を組み合わせることで、精度が向上するようだ。 例えば、74歳以上の女性が腰痛を訴えて受診した場合、骨折している可能性が高い。 救急治療室では、脊椎骨折のいちばんの兆候は、背中の痛む部分の打撲や擦り傷だった。

骨折はまれであり、一般的には緊急治療を必要とせず、たとえレッドフラッグがあったとしても、臨床医と患者は様子を見て待つことができる。 待機期間中、患者は、脊椎骨折には推奨されない運動やマニピュレーション(他動的な伸張)など治療を避けるべきである。

質の低いレッドフラッグスクリーニングの最悪の影響は、過剰治療と過小治療である。 検査が正確でない場合、骨折していない患者が必要のないX線検査やCTスキャンを受ける可能性がある。不必要にX線検査を受けることで患者に余計な心配をさせたり、余計なコストがかかる。 一方の極端な例では(それほど一般的ではないが)、本当の骨折を見逃してしまい、患者が最善の治療を受けられずに余分な時間を過ごす可能性がある。

ほとんどの研究は、質が低いか質が中等度であったため、質問と検査方法の最適な組み合わせを特定するためには、さらなる研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、井上円加 翻訳[2024.03.31]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008643.pub3》

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