レビューの論点
心臓疾患の患者の服薬遵守に対するテキストメッセージの効果についてのエビデンスをレビューした。1310人の被験者を含む7件の研究が見つかった。
背景
世界中で、少なくとも1億人が心臓疾患を患っている。費用効果の高い治療法は数多くあるが、患者の大多数は、心臓疾患の悪化を防ぐのに必要な薬を適切に服用していない。心臓疾患のある人が薬を適切に服用するのを支援する方法として、テキストメッセージベースのリマインダーを使用することができる。
試験の特性
検索した文献は2016年11月までのものである。テキストメッセージを使用する場合と使用しない場合とを比較した7件の試験が見つかった。追跡調査の範囲は1か月から12か月であった。
主な結果
試験の結果では、テキストメッセージが患者の薬の適切な服用を助ける可能性があるように思われるが、研究の規模は小さく、それぞれ非常に異なった方法と定義を使用していた。そのため、試験結果から結論を導くことはできなかった。試験のほとんどは高所得国において、主に男性を対象に行われた。テキストメッセージの使用による悪影響を報告した試験はなかった。著者からの明白な利益相反はなかったが、2件の試験のみが資金提供を表明していた。
エビデンスの質
これらの試験のエビデンスの質は非常に低かった。特に低中所得国の心臓疾患に苦しむ人々に、定期的に薬を服用するように促すためのテキストメッセージの使用に関する、追加の質の高い研究が必要である。
《実施組織》岩見謙太朗、杉山伸子 翻訳[2020.05.17]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011851.pub2》