重度精神疾患を持つ人々に対するコラボレーティブケアアプローチ

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コラボレーティブケアの目的は、重度精神疾患を持つ人々の身体的・精神的健康を改善させることである。どの定義にも共通しているのは、コラボレーティブケアはプライマリケア(家庭医やプラクティスナース)と専門的ヘルスケア(コミュニティメンタルヘルスチームなど)の間の緊密な協力関係を作るねらいがあるということである。これを達成するには様々な方法があり、それがコラボレーティブケアを非常に複雑にしている。専門家(例:家庭医、精神科医、ナース、薬剤師、心理士)間のコミュニケーションと共同作業を増やすことを目的として、プライマリケアとメンタルヘルスサービスが互いにうまく働くように、それらを統合あるいは組み合わせることが目指される。これにより、重度精神疾患を持つ人に対して、病院よりもスティグマが少ない地域の中でより良いケアを提供でき、さらに良い実践を促進することで、利用者がサービスとの接触を保てるようになることが意図されている。大きな問題は、多くの家庭医が依然として身体的な健康問題(糖尿病、心臓病、禁煙など)を彼らのより重要な関心事として捉え、重度精神疾患の治療は精神科医やその他のメンタルヘルスの専門家の仕事だと考えていることである。コラボレーティブケアは、ヘルスケアの専門家同士の協力を確かなものにし、人々の身体的・精神的な健康のニーズに応えようとすることで、全体的なケアの質を向上させることを意図している。このレビューの目的は、コラボレーティブケアの効果を標準的あるいは通常のケアと比較して評価することである。2011年4月に試験の検索が行われた。関心の主な焦点は病院への入院であった。レビューに組み入れられた1件の研究によると、コラボレーティブケアは入院(精神科およびその他の入院)を減らす効果がある可能性がある。また、QOLや精神的健康の改善にも役立つ。しかし、全てのエビデンスが低いか非常に低い質であり、臨床的アウトカムや、具合が良くなったと人々が感じられるかどうか、さらに費用対効果といった点で、コラボレーティブケアが重度精神疾患を持つ人々にとって良いものかどうかを判断するために、さらなる研究が必要である。

この要約は、サービス利用者のBen Gray(Service User and Service User Expert, Rethink Mental Illness)によるものである。

訳注: 

《実施組織》 五十嵐百花 翻訳, 佐藤さやか 監訳 [2020.8.26] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009531.pub2》