出産時の疼痛緩和を維持するための硬膜外麻酔における、間欠的(自動化された強制ボーラス投与)と持続的注入の比較

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背景

硬膜外麻酔では、鎮痛薬を硬膜外腔 (硬膜と脊柱管の間の空間) に注入する。これは、出産時の痛みを軽減させる効果的な方法である。鎮痛薬は通常、硬膜外腔に留置された細いチューブを通してプログラム可能なポンプによって投与される。従来より、薬物を一定の速度で投与する”持続注入法”がとられてきた。近年、それに代わって間欠的に薬物を投与する方法が注目されるようになった。これは、いわゆる”ボーラス投与(自動化された強制ボーラス投与)”とよばれるもので、よりよい鎮痛方法かもしれない。この研究では、分娩中の硬膜外麻酔を維持するための2つの介入、すなわち自動化された強制ボーラス投与と持続注入、に関するエビデンスについてレビューを行った。

研究の特性

本エビデンスは、2018年1月現在のものである。合併症のない1121人の妊婦を対象とした12の研究を組み込んだ。研究資金源の影響を特異的に評価することはできなかった。組み込んだ研究は、ランダム化比較試験として知られるデザインで行われ、対象者は調べたい治療を受ける群か標準治療を受ける群のいずれかにランダムに割り当てられる。これは、研究者や研究の対象者が持ちうるバイアスを減少させるために行うものである。

主要な結果

自動化された強制ボーラス投与では、分娩中の持続注入と比較して、麻酔科医による医療介入を必要とするような抑えきれない痛みの可能性を減らすことができた。この方法で、帝王切開分娩や器械分娩(産科医が鉗子分娩や吸引分娩を用いた介入を行う)の可能性が上がったり、分娩所要時間が長くなったりすることはなかった。また、1時間あたりに必要な薬の投与量を減らすかもしれない。加えて、7つのうち5つの研究では、対象者は持続注入より自動化強制ボーラス投与の方を好んだことがわかった。

エビデンスの質

エビデンスの質は、われわれが検索した結果すべてにおいて中程度であった。帝王切開と器械分娩の可能性に関する検討は例外で、これらはエビデンスの質は低かった。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子 増澤祐子 翻訳 [2018.5.27] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011344》