医療従事者が高齢者に適切な医薬品を提供できるようにする方法のレビュー

本レビューの目的は何か?

このコクラン・レビューの目的は、高齢者に適切な医薬品の使用を改善するようなアプローチがあるかどうかを調べることであった。この疑問に答えるため、関連するすべての研究を収集・分析し、38件の試験をレビューに含めた。

要点

慢性疾患の症状を治療し、病気の悪化を防ぐために薬を服用することは、高齢者にとっては一般的である。しかし、薬の飲み過ぎると有害が影響が生じる可能性がある。分析の結果から、調査した介入によって医薬品の適切な使用を改善するかどうかは不明である。この疑問に答えるには、さらなる優れた研究が必要である。

本レビューでは何が調査されたのか?

このレビューでは、高齢者が自分の病気に対して最も効果的で安全な医薬品を受け取れるように、医療従事者が行った研究を検証する。ファーマシューティカルケアと呼ばれる薬剤師によるケアサービスの提供などが含まれた。これは、薬に関する問題を特定し、予防、解決することによって、医薬品の正しい使用を促進することである。また、コンピューターによる意思決定支援も含まれた。これは適切な治療法や戦略の選択を支援する医師のコンピューター上のプログラムであり、さまざまな医療従事者が協力することもある。

本レビューの主な結果は何か?

19か国から38件の関連する臨床試験を見つけ、18,073人の高齢者を対象とした。これらの研究は、多くの医薬品の適切な使用を改善することを目的とした介入を、通常のケアと比較したものであった。介入によって医薬品の適切な使用が改善されたかどうかは不明である。すべての研究を分析した結果、介入によって、医薬品の投薬の適切性が改善された(専門家の判断による点数化に基づく)、または潜在的に不適切な医薬品(有害性が有益性を上回る医薬品)の投薬数が減少したと結論づけることはできなかった。また、介入によって1件以上の不適切な投薬の可能性がある患者の割合が減少したかどうか、あるいは1件以上の処方漏れの可能性がある患者の割合(有用な薬が処方されていない場合)が減少したかどうかについても言及できなかった。これはエビデンスの質によるものである。しかし、このレビューの前回の更新と比較すると、潜在的な処方漏れに焦点を当てた研究が増え、複数の医療従事者が協力して行う研究が増えた。さらに、介入は入院やQOL(生活の質)にほとんど、あるいはまったく変化をもたらさない可能性があることもわかった。

エビデンスの限界

研究の質は低く、患者集団、投薬の適切性の測定方法、実施された介入には大きな違いがあった。

本レビューの更新状況

2021年1月までに出版された研究を検索した。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、伊東真沙美 翻訳[2024.08.23]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD008165.pub5》

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